《素朴な月夜》(cat. no. 160)とともに二科展へ出品され、古賀春江が日本初のシュルレアリスムの画家として評価される契機となった作品のひとつです。いずれも脈絡のないモティーフが奇異な組み合わせで描かれています。鳥籠の裸婦はドイツ映画のスチール写真から、円盤状のものは方解石の顕微鏡写真からというように、いくつかのモティーフは映画雑誌や科学雑誌の挿図がイメージ源であることが明らかにされています。機械が随所に描き込まれていますが、その背景には、板垣鷹穗『機械と藝術との交流』(1929年)が出版されるなど機械美を賞賛する潮流もありました。