土曜講座「マリー・ローランサンー時代をうつす眼」展(全2回) 第1回

2024.01.25

1月20日に行われた土曜講座「マリー・ローランサンー時代をうつす眼」展(全2回)の第1回は、吉澤公寿氏(マリー・ローランサン美術館館長)をお迎えして、「マリー・ローランサンの作品と生涯」というテーマでご講演いただきました。

 

昨年、マリー・ローランサン(1883-1956)は生誕140年を迎えました。日本にマリー・ローランサン美術館(現在は休館)が開館したのが1983年(生誕100年)。当時は、日本では人気があるもののヨーロッパではほとんど忘れられた存在であったといいます。その後、スイスのマルティーニでヨーロッパ初となる回顧展が開催されたほか、生誕130年にはパリのマルモッタン・モネ美術館でフランスで初となるマリー・ローランサンの回顧展が開かれるなど、近年、世界各地で新たに注目を集めています。現在も、アーティゾン美術館のほか、フィラデルフィアのバーンズ財団で彼女の展覧会(Marie Laurencin: Sapphic Paris 1/21まで。オハイオ州のコロンバス美術館に巡回 4/5-8/18)が開催中です。

 

本講座では、ローランサンの出生届の写真に始まり、女性が自立して生きる道が限られていた時代に芸術の世界へと足を踏み入れた少女時代から、パリの洗濯船(バトー・ラヴォワール)でブラックやピカソ、そして詩人アポリネールなど20世紀初頭のパリを彩った画家や文学者たちと出会い、キュビスムの誕生を目撃し、女性でありながら彼らと対等に交流して制作した姿。そして恋人アポリネールとの別離とドイツ人男爵との結婚、第一次世界大戦の勃発によるスペインへの亡命、フランスへの帰国と離婚、再びフランスに迎え入れられたのちに経験した第二次世界大戦。パリの自宅でエルメスに特注したエレガントな机で絵を描いていた晩年まで。73年にわたる生涯のさまざまな出来事を、作品と周辺の仲間たちとの交友関係、時代背景を通して詳しくご紹介いただきました。

 

決して平凡な人生を望まなかった生き様に想いを馳せるとともに、印刷物では再現しきれない、優しさや優雅さのあるローランサン独自の表現に改めて魅了されるひとときとなりました。

(教育普及部学芸員K.H

土曜講座「マリー・ローランサンー時代をうつす眼」展(全2回)  第1回
土曜講座「マリー・ローランサンー時代をうつす眼」展(全2回)  第1回
土曜講座「マリー・ローランサンー時代をうつす眼」展(全2回)  第1回