土曜講座 地中海学会連続講演会Vol.3「動物の不思議」第1回

2023.09.12

地中海学会連続講演会Vol.3「動物の不思議」(全3回)の第1回は、金沢百枝氏(多摩美術大学教授)をお迎えし、「ロマネスク聖堂における動物−解釈のゆらぎのあわいで−」というテーマでご講演いただきました。

 

中世の人々の身近な世界には、どのような動物たちがいたのでしょうか。例えば、牛や馬、ロバ、羊などの家畜のほか、外で労働しない人(女性や聖職者、学者など)の近くにいた小型の犬や猫。そして、狩りの獲物としての動物たち、さらには架空の動物、怪物まで。さまざまな動物たちが豊かに存在し、それらの動物たちは神の言葉としての意味も持っていました。

 

ロマネスクの聖堂においても、たくさんの動物たちの姿を見出すことができます。本講座では、動物が多く登場する、聖堂の扉口周り(タンパン、アーチ、まぐさ、扉)や聖堂内部(柱頭、床モザイク、説教壇)など、自ら現地に赴いて撮影された100枚を超える画像をご紹介いただきました。そして、それらの動物たちが当時どのような意味を持って制作されたのか、今日どのように解釈され得るのか、キリスト教の教義や動物譚、民話的寓話や詩など民衆の口承文化との関連があるのか、修道院という場所に限れば読者を特定し読み解きが可能なのか、など複層的な解釈のゆらぎを教えていただきました。

 

ロマネスク聖堂に残る、愛らしくも不可思議で奇怪な中世の動物たち。その謎に溢れた魅力に引き込まれるひとときとなりました。

[アーティゾン美術館教育普及部学芸員K.H.

土曜講座 地中海学会連続講演会Vol.3「動物の不思議」第1回
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