拡大《四季山水図(夏幅)》

雪舟

《四季山水図(夏幅)》

室町時代 15世紀   絹本墨画淡彩

前景に描かれた木々を見ると、春にはピンク色の花をつけ、夏は青々と生いしげる葉を、秋は紅葉、そして、冬では地面に落ちた葉の上にも白い雪が舞い降りています。四季折々の彩りに気づき、改めて中央の山や、自然の中に身をゆだねる高士の姿に視線を移してみると、止まっているようで永遠に続いている時間や空間のようなものが感じられます。山水画で表現しようとしている世界です。
 この絵には署名や印章がないものの、古くより雪舟の筆と見なされてきました。狩野探幽や狩野安信による極め書きが、作品とともに伝わっています。
 雪舟というと涙でネズミの絵を描いたという逸話が伝わりますが、少年期に都に上り、京都五山の東福寺から相国寺へ、春林周藤の弟子となり、画事は周文に学びます。1454(享徳3)年頃、周防の大内氏の庇護を受け山口に下り、1467(応仁元)年、明に渡る機会を得ます。遣明団の記録係をつとめる中、本場中国の絵画や絵師、そして自然に、直に触れた雪舟でした。この絵は、そんな中国体験を経て制作されたと考えることもできるのですが、一方で雪舟が手本としたと思われる中国絵画の存在や、似た図様の作品などが見出され、中国体験をせずとも描き得たと考えることもできます。

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