拡大《自らが輝く》

ヴァシリー・カンディンスキー

《自らが輝く》

1924年  油彩・カンヴァス

カンディンスキーは、20世紀前半の抽象絵画の創出と発展に大きな役割を果たした画家です。絵画を精神活動として見なし、色彩や線の自律的な運動によるコンポジションの探求に取り組みました。ベルリンの分離派展やパリのサロン・ドートンヌ、ドレスデンのブリュッケ展などへの出品を経て、1911年にフランツ・マルクらと「青騎士」を結成。ロシア革命後には祖国の美術行政や教育において要職を務めるも、1922年、建築家グロピウスの招聘を受けて、ヴァイマールのバウハウスに加わりました。この作品は、カンディンスキーがバウハウスに加わって2年後の1924年に制作されたものです。左下に画家のイニシャルと年記が確認できます。裏面には画家のモノグラムと題名、272番のハンドリストの番号、年記が確認されています。なお、画家自身によるハンドリストによると、この作品はこの年の3月から7月の間、すなわちヴァイマールのバウハウスの閉校前に制作されたようです。大小の円形や四角形、三角形、線状的な要素など、様々な形態が重なり合いながら、この時期のカンディンスキーに特徴的な対角線を意識した構成がなされています。加えて、曲線が巧みに配され、螺旋を思わせる流動感が生み出されているところは、同時期の作品の中で、この作品をよりユニークなものにしています。画面の地をつかさどる赤をはじめ、暖色と対照的な白が基調をなしている点も特色となり、それは、「自らが輝く」というタイトルを裏付けているようです。

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《自らが輝く》