拡大《作品》

斎藤義重

《作品》

1961年  油彩・合板

斎藤義重は、1930年代における草創期の日本の前衛美術運動に重要な役割を果たした造形作家です。第二次大戦と健康上の理由により活動の中断を余儀なくされますが、1950年代半ばには再開し、絵画と立体の領域を横断する先鋭な作品を精力的に制作しました。この作品は、1960年代前半に集中して取り組んだ、電動ドリルを用いた「作品」のひとつです。合板の画面に、ドリルが走ったような点や線が刻まれ、その上に赤色を中心とした塗料がていねいに塗り込められています。画面に残された制作行為そのものの痕跡は、筆で描かれた二次元の幻影とは異なる現実の空間を提示しているかのようです。

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