1911（明治44）年、満谷国四郎は、大原美術館の創設者大原孫三郎の援助のもと2度目の渡欧を果たしました。すでに太平洋画会の結成に携わり、文展審査員を務めるなど画壇における地位を獲得していましたが、基礎からやり直すつもりでアカデミー・ジュリアンのジャン= ポール・ローランスの教室へ通い、それまでの堅実で写実的な表現から一変、平面的で装飾的な明るい画風へと転じます。その転換期に描かれたこの作品には、女性が椅子にもたれて読書する姿が横からとらえられています。翌年、帰国後に開催された滞欧作品展に出品されました。