Paris Report

Column|2017.04.27
1962-2017 2つの石橋コレクション展

いまから55年前、1962年にもパリで石橋コレクション展が開催されていたことをご存じでしょうか?(注1)

1962年の展覧会には、モネ、ルノワール、セザンヌやピカソなど石橋コレクションの代表的な西洋絵画約50点が展示されました。会場となったのは、当時パレ・ド・トーキョーにあったパリ国立近代美術館。はからずも当館の開館10周年という絶好のタイミングに、はじめて海外で石橋コレクションを紹介する機会に恵まれました。展示会場には屏風に見立てた仮設壁を設置し、作品が展示されました。この展覧会は、以前から石橋コレクションを高く評価していた当時のパリ国立近代美術館副館長ベルナール・ドリヴァルの発案により実現しました。この展覧会によって、コレクションの基礎を築いた石橋正二郎というコレクターの存在は驚きとともにフランスのメディアの注目を集め、石橋コレクションは広く認知されることとなりました。

 そして今年、2017年の展覧会では、青木繁や坂本繁二郎、藤島武二など日本近代洋画の代表作や、近年蒐集した戦後の抽象絵画なども展示されています。出品総数も76点と増え、石橋コレクションの原点から現在に至る展開を見渡すことができる内容になっています。また、モネ《睡蓮》やセザンヌ《帽子をかぶった自画像》など、55年ぶりに再びパリで展示された作品もたくさんあります。

 2017年と1962年、2つの石橋コレクション展を見て下さった方はいらっしゃるでしょうか? このたびの展覧会で、ふたたびパリの人々にあたたかく迎え入れられ、多くの美術ファンに楽しんでいただけることを願っています。(N.T)

注1:日本語タイトル「東京石橋コレクション所蔵−コローからブラックに至るフランス絵画展」と題されフランスでのタイトルは、"La Peinture Française de Corot à Braque dans la Collection Ishibashi de Tokyo"。会期は、1962年5月4日〜6月24日。

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