Paris Report

Column|2017.03.30
パリ出張日記 2

3月初旬のある日、オランジュリー美術館で開催される「ブリヂストン美術館の名品−石橋財団コレクション展」に出品される絵画や彫刻をのせた飛行機の一部が、パリに向けて飛び立ちました。
出品作品は、今回の輸送に先駆けて、各々のコンディションを丁寧に確認し、それを記した状態調査表を作成した後、揺れや温湿度などの環境の変化を考慮して、それぞれの大きさに合わせて作られた輸送箱に梱包されました。
早朝、トラックで搬出、空港の貨物地区でパレットに載せて飛行機に積載。約12時間半の飛行を経て、パリの飛行場の貨物地区でパレットの荷解きを行い、いざオランジュリー美術館へ。すべての作品が蔵置されると、外は真っ暗になっていました。

到着した作品は、展示室内の温湿度環境に慣らすために、丸一日休ませます。翌々日より、開梱・点検・展示の作業がスタートしました。初日は、展示台の位置や留め具、展示ケースの確認のために彫刻作品から開梱を行うとのこと。

最初に開梱したのは、朝倉文夫《石橋正二郎氏胸像》でした。日本で梱包される前の状態から変化は起きていないか、状態調査表をもとに、現地の修復家とブリヂストン美術館の学芸員が一緒に確認してサインを取り交わします。チェックを終えたものは、順に展示作業へ。予め展示プランはできていても、実物を並べてみて配置の変更や微調整は珍しくありません。

最初に展示位置が決まったのは、ロダン《立てるフォーネス》でした。お客様の導線をイメージしながら、設置する角度など一番良いと思うポイントを選びます。旧ブリヂストン美術館で、エレベーターを上ってすぐのところに展示されていた頃に比べると、目線が少し高くなりアクリルケースで覆われました。
展示作業は始まったばかりです。オランジュリー美術館で、ブリヂストン美術館の作品がどのように並ぶのか、今後のレポートにご期待ください。(K.H)