アーティゾン美術館 内外装完成 施設概要について

2019.09.18

公益財団法人石橋財団アーティゾン美術館(館長 石橋 寬)は、2015年5月から新築工事のため休館していましたが、美術館が低層階を占める地上23階建ての「ミュージアムタワー京橋」が本年7月に竣工し、この度、美術館の内外装が完成しましたのでその施設についてご紹介します。なお、開館日を2020年1月18 日(土)とし、開館記念展を1月18日(土)~3月31日(火)にて開催することを決定しました。

施設概要

アーティゾン美術館は旧ブリヂストン美術館のDNA を受け継ぎ、都心にある中で親しみやすい美術館施設を目指しました。 新しい美術館は母体となる「ミュージアムタワー京橋」の低層階(1F~6F)となり、展示室(4F~6F)の総面積を旧来のおよそ2倍の約2,100 ㎡に増床し、エントランスロビーなどの共有スペースを含め大幅に拡張しています。( 延べ面積: 6,715 ㎡ )
アーティゾン美術館は都市型の美術館として縦に層を重ねる6 階建ての構成で、大きく下3 階部分(1F~3F)をフリーゾーン、また上3 階部分(4F~6F) を展示室ゾーンに分けています。

建築・設備・デザインの特徴

事業継続への取り組み

「ミュージアムタワー京橋」は、震災による被害を最小限に抑えるため、防災や事業継続の観点から免震構造を採用し、万が一の停電時にも電力を72時間供給可能とする非常用発電機を設置しています。 また、受変電設備、非常用発電機および熱源設備等をビルの8F~9Fに設置し、洪水や津波などの水害からも建物の機能を維持するよう配慮されています。 同様に美術館展示室も作品保護の観点から4F~6Fに配し、インフラにおいても美術館の事業継続を確保しています。

地下に設置された免震ゴム

ミュージアムタワー京橋

開かれた空間の創出

美術館正面入口の移動

八重洲通り側に面していた旧美術館の正面入口を、 メインストリートである中央通り側に移動し、さらに入口まわりに広場を設けることで、 分かりやすく入りやすい美術館を体現しています。

1F~2F を大ガラスで囲み一体化

美術館入口となる1F~2Fを高さ8mの高透過大型ガラスで囲み、吹き抜けで一体化しました。 これにより外部から内部を見渡せる開かれた大空間を創出しています。 中でも1Fカフェ部分の大型ガラス9枚は電動回転扉とし、ガラス扉を開けることで外部と内部をつないだ開放感あふれるオープンカフェになります。

3F~5F の吹き抜けによる大空間

高さ16.5m の3F~5Fを縦に吹き抜けでつなぎ開放的な大空間をつくりました。 これにより来館者が自身の現在地を自然に確認することができ、展示室との空間の違いを楽しみながら体感できます。 また全体をガラス張りにしており、自然光をふんだんに取り入れ、中央通りからも広く見通すことができる開かれた空間になっています。

最適な展示環境づくり

4F~6Fの3層に分かれた展示室は、今後の様々な展示に対応できるよう自由度の高いスペースになっています。 また、各階展示室のフローリング床に色の明度差を設けることで個性を演出し、さらに4Fと5Fの展示室に吹き抜けを設け立体的な構成としました。 6F展示室は100kgの作品を天井から吊ることができる構造となっています。

上: 6F 展示室
左: 5F 展示室の吹き抜け
(4F 展示室を見下ろせる)

最新の置換空調による展示室環境

展示室の空調はフローリング床の目地(5mm)を吹き出しに利用した新しい置換空調システムです。 床全体から新鮮で温湿度の安定した空気をゆっくりと吹き出し、上部の空気を押し上げて天井から換気します。 エネルギー効率に優れ、気流感や温湿度ムラのない室内環境を実現する人と美術品に優しい空調システムです。

LED スポットライトのオリジナル開発

アーティゾン美術館では展示室照明に自由度をもたせ、最適な演出を可能にするために、高品質LED スポットライトを株式会社YAMAGIWA と共同開発しました。 超高演色VIOLED(紫LED)を使用し、調光・調色(2,700K~4,500K)が可能な仕様です。さらに無線システム制御を採用することで、タブレット端末にて個別に制御可能で、天井高のある展示室での作業性を向上させました。 細部にわたる使いやすさとデザインの両立を図った次世代のスポットライトです。

4F 展示室

15m 一体ガラスの展示ケース

最新鋭の展示ケースを備えた空間づくり

アーティゾン美術館では、展示作品領域の拡大に合わせ、古美術等のための展示ケースを備える空間を4Fに設置しました。 収蔵する屏風などの鑑賞に理想的でシームレスな環境をつくるため、展示ケースでは画期的な横幅15mの継ぎのない高透過合わせガラスを採用。 また照明は、有機EL照明など最新鋭のシステムを組み込み、理想的な照明環境での展示を可能としました。

開かれた先進の美術館

● IT の導入について

デジタル化への取り組み

当館では従来よりコレクションやその周辺情報のデジタル化に取り組んできました。 2016年にはITプロジェクトを立ち上げ、情報の安全管理や業務の効率化を図るとともに、来館者の知的好奇心を刺激する開かれたデータの提供を可能にする仕組みや、インフラの検討を行ってきました。 その結果、美術館が保有する作品や展覧会などのデータ・アーカイブを整備し、それを結合して情報提供するシステム(クラウド環境)を構築しました。

フリー Wi-Fi 化による情報提供

当館が保有する作品や展覧会に関する、多様で高精細な画像やデータを、4Fインフォルームの端末や4F・5Fに設置したデジタル・コレクション・ウォールでご覧いただけます。 また館内のWi-Fi化により、アーティゾン美術館のアプリをダウンロードしていただければ、お客様のスマートフォンで音声ガイドや作品解説を楽しんでいただけます。

デジタル・コレクション・ウォール

先進の美術館であり続けるために

昨今、組織がもつデータを公開し、その用途を広げ役に立てる「オープン・データ・イノベーション」の流れがあります。 当館もこれを志向し、データの整備を行っていきます。 また、「創造の体感」という美術館コンセプトのもとにこれらデータと最新のテクノロジーを組み合わせたクラウド・コンピューティング環境を活用し、展覧会や事業などで様々な試みを展開します。

クリスタルLEDディスプレー

デジタルサイネージの設置

石橋財団コレクションを直感的に体感できるチームラボによる「デジタル・コレクション・ウォール」を、4F・5Fの展示ロビーに設置しました。 また1FエントランスロビーにはSONY社製の「クリスタルLEDディスプレー」を設置し、作品画像やその他情報の大型の超高精細画像放映を可能にしました。

素材と細部にこだわる

● 外装デザイン

外装デザインは中央通りに並ぶ建築や周辺との調和と現代性のバランスを重視し、普遍性のあるデザインとしました。 美術館の顔を印象づける縦格子や壁面に表面をリン酸処理したスチールパネルを採用し、瓦や硯のような色と質感により上質感を表現しました。

リン酸処理スチールパネル

石壁パターン張りと円柱

1Fエントランスの壁面と同様の御影石正方形パターンを用いた外部円柱は直径1.8m、高さ8mで、先頭の1本は外部からそのまま3F~5Fの 16.5mの内部吹き抜けに出現する石柱オブジェとして空間内に続きます。 まるで建築を貫く大木のような円柱は円、アーティゾン美術館のシンボルとして機能します。

● 内装デザイン

親しみやすく開かれた美術館の印象をつくるために、現代的かつ人の持つ温かみを意識し、素材にこだわりました。

テラゾー(人造大理石) のタイルと自然石(1F)

1F床材にテラゾーの大型タイル(1,200mm 角)をオリジナル開発し、床面には白いラインが走るデザインを施しています。 1F壁面には黒御影石やインド砂岩等の自然素材を使用し、石表面の仕上げを微妙に変え全体に柔らかさを与えています。

真鍮カットパネルの壁面

真鍮の壁面パネル(3F ~6F)と間接照明

3F~6Fの壁面パネルには、バイブレーション研磨した無垢の真鍮カットパネルを採用し、温かみのある柔らかな金色の輝きを醸し出しました。 内装の特徴的な仕上として各階とエレベーター内部などに使用しています。 さらに内装の決め手となる照明には、壁面間接照明を採用し、柔らかい光のグラデーションで壁面を照らして立体感と奥行き感、そして空間の連続性を強調しています。

オリジナル家具の製作

空間すべてをオリジナルでデザインしたように、家具もオリジナルデザインによって制作しました。 カフェを中心とした木製のアームチェアをはじめ、四方から座れる展示室のソファ、造作家具など、親しみやすい美術館のために隅々までデザインしています。
サイン3

サイン計画

美術館施設の案内であり、建築の重要なアクセントとなるサインシステムを、ピクトグラムをはじめオリジナルで開発しました。 新機軸となる極細のLEDを用いた「スリットライト」により、文字やピクトグラムを浮き上がらせ、視認性向上と同時に空間に軽やかな印象を与えています。
サイン_トイレ
ピクト

快適で安全な鑑賞環境構築の取り組み

IPM 清掃と環境調査

7月9日より、建築工事を通じて4F~6Fの展示室および作品の一時保管庫等に堆積した塵埃類を除去する特殊清掃を約1ヵ月にわたって行いました。 この清掃は、人間と環境への影響を少なくするIPM(総合的有害生物管理 Integrated Pest Management)の考えに基づくもので、作品に影響を及ぼす化学物質の放出を軽減するほか、文化財害虫の発生を抑制します。
清掃実施の結果、作品の保管・展示に向けて清浄な空間が整備されました。 独立行政法人国立文化財機構文化財活用センターに助言を依頼し、展示室および作品の一時保管庫等の環境調査を実施しています。 空気質調査と温湿度調査の調査結果を随時報告し、見解と助言を受けているほか、8月29日には同センターによる現地調査の実施を経て、開館に向け、文化財の保存展示を行う環境として最適化を図っています。

日時指定予約制の導入

お客様の待ち時間を少しでも短くし、より快適に鑑賞いただくために、WEB予約による「日時指定予約制」を導入します。 (詳細は10月に予定している開館記念展概要発表時に公表予定)

危険物検知ゲートシステムの導入

お客様に安心して鑑賞いただくことと作品の安全を考慮し、3Fのエレベーター前に米国エボルブテクノロジー社製の危険物検知ボディスキャナーを導入しました。 金属系の危険物を検知するだけでなく、世界初のミリ波による非金属や液体の爆発物検知機能を搭載しています。

石橋財団アートリサーチセンター(ARC)

汎用クレートの開発

石橋財団では研究施設として2015年5月よりアートリサーチセンター(ARC)の活動を開始し、美術作品の研究、保存、修復、資料保管等を行っています。
この度、ヤマトグローバルロジスティクスジャパン株式会社との共同開発により、環境にも優しく、ゼロ・エミッションの観点から、繰り返し使える美術輸送のための汎用クレートを開発しました。 仕様および素材の安全性能について試行錯誤した結果、金属(アルミ)製の20号サイズのクレートが完成しました。 開館記念展準備のための作品輸送から使用する予定です。

テスト輸送の様子

今後の対外発表予定

9月20日(金)~24日(火) 新聞全面カラー広告掲載

10 月1 日(火) プレスリリース

● アーティゾン美術館新収蔵作品について
● 開館記念展「見えてくる光景 コレクションの現在地」について
(「日時指定予約制」概要を含む)
●2020 年アーティゾン美術館展覧会スケジュール

11 月1日(金) プレスリリース

●日時指定予約制によるチケット販売開始

■ プレス画像のお申込み
プレス画像をご希望の方は、下記よりお申込みください。
https://www.artizon.museum/pressimage/?id=1093

■ プレスお問い合わせ
アーティゾン美術館 広報部
〒104-0031 東京都中央区京橋 1-7-2
Tel: 03-3563-0241
Fax: 03-3561-2130
E-mail: publicity@artizon.jp

アーティゾン美術館 建築概要

建物名称  :公益財団法人石橋財団 アーティゾン美術館
建築場所  :東京都中央区京橋1-7-2 ミュージアムタワー京橋内
地域・地区 :商業地域、防火地域
都市計画  :都市再生特別地区、地区計画等
主要用途  :美術館
敷地面積  :2,813.74 ㎡
建築面積  :2,212.83 ㎡
延べ面積  :6,715 ㎡(美術館部分)
展示面積  :2,109 ㎡( 4 階 725 ㎡、5 階 639㎡、6 階 745 ㎡)
構造    :基礎免震、S 造、一部RC・SRC 造
階数    :地上6 階
開館時期  :2020 年1 月18 日

ミュージアムタワー京橋 地上23 階、地下2 階、塔屋2 階
最高高さ  : 149.22m

設計・監理: 株式会社日建設計
美術館デザイン: TONERICO: INC.
施工: 戸田建設株式会社

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