マリー・ローランサン(1883-1956)は、20世紀前半に活躍した女性画家です。キュビスムの画家として紹介されることも多くありますが、「前衛的な芸術運動」や「流派(イズム)」を中心に語る美術史の中にうまく収まらない存在です。ローランサン自身は、自分に影響を与えた存在として、同時代の画家マティス、ドラン、ピカソ、ブラックの名前を挙げていますが、彼らの様式を模倣することなく、パステルカラーの独自の画風を生み出しました。彼女は同時代の状況を見つつ、時代の要請を理解して、自らの方向性を模索しました。
本展では石橋財団コレクションや国内外の美術館から、ローランサンの作品約40点、挿絵本等の資料約25点に加えて、ローランサンと同時代に活躍した画家たちの作品約25点、合計約90点を展示します。ローランサンの画業を複数のテーマから紹介し、関連する他の画家たちの作品と比較しつつ、彼女の作品の魅力をご紹介します。