本展について

石橋財団アーティゾン美術館 © Copyright Agency, Sydney & JASPAR, Tokyo, 2025 C4919
地域独自の文脈で生まれた作品への再考が進む近年の国際的な現代美術の動向とも呼応し、オーストラリア先住民によるアボリジナル・アートは改めて注目を集めています。
2024年に開催された第60回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展で、アボリジナル作家の個展を展示したオーストラリア館が国別参加部門の金獅子賞を受賞したことからも、その世界的な評価と関心の高さがうかがえます。
またオーストラリア現代美術では、多数の女性作家が高い評価を得ており、その多くがアボリジナルを出自の背景としています。
当館では2006年に「プリズム:オーストラリア現代美術展」を開催し、以降継続的に作品を収集しています。
本展は複数のアボリジナル女性作家に焦点をあてる日本で初めての機会となります。
所蔵作家4名を含む7名と1組による計52点の出品作品をとおして、アボリジナル・アートに脈々と流れる伝統文化の息づかいを感じ取っていただくと同時に、イギリスによる植民地時代を経て、どのように脱植民地化を実践しているのか、そしてそれがいかにして創造性と交差し、複層的で多面的な現代のアボリジナル・アートを形作っているのか考察します。